Anki の使い方と、もっと簡単な無料の代替アプリ
「暗記アプリといえば Anki」とよく言われます。実際、無料で使えて、間隔反復(スペースド・リピティション)という記憶科学に基づいた仕組みを持っていて、世界中の受験生や語学学習者が使っています。
ただ、いざ使い始めると「思ったより手間がかかって続かない」という人も多い。私もその一人でした。
この記事では、まず Anki の基本的な使い方をざっと押さえたうえで、どこでつまずきやすいかを正直に書きます。そのうえで、カード作りの手間をなくした無料の代替アプリも紹介します。結論を先に言うと、標準的な試験用の単語集は Anki が強く、日常・読書・旅行で出会う単語は別のアプリのほうが楽です。
Anki の使い方(基本)
Anki の仕組みは、突き詰めるとこの3つだけです。
1. デッキ(deck)を作る
デッキは単語カードの束です。「JLPT N3」「TOEIC 単語」のように、目的ごとに分けて作ります。最初に1つ作って、その中にカードを足していくイメージです。
2. カードを作る
1枚のカードに「表(問題)」と「裏(答え)」を入れます。たとえば表に英単語、裏に意味・例文・発音を入れる。これが Anki の中心的な作業です。コミュニティが公開している共有デッキをダウンロードして使うこともできます。
3. 間隔反復で復習する
ここが Anki の本体です。カードを見て「覚えていた / 忘れていた」を自分で評価すると、Anki がアルゴリズムで次にいつ出すかを自動で決めてくれます。忘れかけたタイミングで復習が回ってくるので、効率よく長期記憶に残る。この記憶の理屈そのものは エビングハウスの忘却曲線と暗記法 で詳しく書いています。
使い方自体はシンプルです。問題は、この「2. カードを作る」が思った以上に重いところにあります。
Anki でつまずきやすい弱点
機能を否定したいわけではありません。アルゴリズムは本当によくできています。それでも止まってしまう理由を正直に挙げます。
カード作りに時間がかかる
これが一番大きい。1枚をちゃんと作ろうとすると、意味を調べ、例文をコピーし、画像を探し、発音を付ける。丁寧にやると1枚で約5分。洋書を1ページ読んで知らない単語が10個出たら、カード作りだけで50分です。結局「あとで作ろう」となって、その単語は二度と戻ってきません。
iOS 版が約 $25 の有料
Android 版(AnkiDroid)とデスクトップ・Web は無料ですが、iOS 版の AnkiMobile は約 $25の買い切り有料です。手元で一番よく使う iPhone でだけお金がかかる形なので、スマホ中心で学ぶ人にはハードルになります。
共有デッキの半分はもう知っている単語
「デッキを落とせばいいじゃないか」と思うかもしれません。ところが実際に使うと、TOEIC の基礎デッキなどはすでに知っている単語(apple、book…)がかなり混じっている。それを毎日「簡単」で消していくのに時間を取られます。自分が知らない単語だけ覚えたいのに、他人が作ったデッキは自分のレベルを知りません。
まとめると、Anki の弱点は摩擦です。仕組みはいいのに、そこへ行き着くまでの道が険しい。
写真で自動生成する無料の代替 — KaChiKa
そのカード作りの摩擦をほぼゼロにしたのが KaChiKa です。私が Anki から切り替えたのは、まさにこの「カードを作る」という作業がなくなったからでした。
- 写真を撮る → カードが自動でできる:本のページ、カフェのメニュー、街の看板を撮ると、AI が画像の中の文字や物体を認識してカードを作ります。例文は検索で拾ってきた他人の文ではなく、写真の中の実際の文そのまま。だから文脈が完璧です。
- 知っている単語はスキップ:共有デッキのように apple から覚え直す必要はなく、自分が知らない単語だけをカードにします。「簡単」連打で時間を無駄にすることがありません。
- FSRS 系の間隔反復:復習の日程はアプリが組みます。Anki が長年使ってきた SM-2 より精密な FSRS 系アルゴリズムで、忘却曲線に合わせて忘れかけた頃に自動で出してくれます。
- 視覚記憶が残る:撮った写真がそのままカードに付きます。あとでその場面を思い出すだけで単語もよみがえる。
- 基本無料・登録不要:iOS / Android / Web の3つすべてでダウンロードしてすぐ使えます。Anki の iOS が約 $25 なのと正反対です。
- 英語・日本語に対応:英単語でも日本語の単語でも、同じように撮って作れます。
体感差が一番出るのは速さです。Anki で手作業だと1枚に約5分かかっていたのが、写真を撮れば一括で約5秒。洋書を読んでいて知らない単語が出たら、そのページを撮ってそのまま読み続けられる。流れが途切れません。写真からカードができる流れは 写真で単語帳を作る方法(AIで自動生成) でも詳しく紹介しています。
Anki と KaChiKa、結局どちらを使うべきか
正直に分けます。代替アプリだからといって、すべての場面で KaChiKa が勝つわけではありません。
| 観点 | Anki | KaChiKa |
|---|---|---|
| カード作成 | 手動、1枚 約5分 | 写真1枚で約5秒、一括 |
| 価格 | iOS 約 $25 / Android・Web 無料 | 基本無料・登録不要 |
| 対応端末 | iOS / Android / デスクトップ・Web | iOS / Android / Web |
| 標準試験デッキ | 共有デッキが強い | 自分で撮るか別途補う |
| 自分のレベル反映 | デッキは反映しない | 知っている単語は自動で除外 |
| 例文・画像 | 自分で用意 | 写真の実際の文と画像をそのまま収録 |
| アルゴリズム | SM-2(長年の実績) | FSRS 系(より精密) |
Anki が向いている場面
- JLPT・TOEIC・TOEFL のように、決まった標準試験の単語集をまるごと覚えるとき。検証された共有デッキは Anki の本当の武器です。数千語を一枚ずつ撮るわけにはいきません。
- すでに数千枚のカードと数年分の学習データが溜まっている人。
- カードのテンプレートを細かくカスタマイズしたいパワーユーザー。
KaChiKa が向いている場面
- 洋書や記事を読んでいて出会った単語を集めるとき(そのページを撮れば終わり)。
- 旅行・出張・日常で見かけた「生きた単語」を覚えるとき。
- スマホで気軽に、無料で、登録なしに始めたいとき。
- Anki でカードを500枚も貯められずに止まった経験がある人(= カード作りそのものが自分のボトルネックという合図)。
私は両方使っています。試験用の単語集は Anki のデッキで回し、日常・読書の単語は全部 KaChiKa で撮る。それぞれ得意なことをさせるのが正解です。
まとめ
Anki を止めた理由が「カード作りが面倒だから」だったなら、それこそが写真ベースの無料アプリへ移る合図です。アルゴリズムがどれだけ優秀でも、カードが溜まらなければ覚えるものがありません。
いま目の前にある英語の本のページや、カフェのメニューを1枚撮ってみてください。5秒後に最初の単語カードができます。登録も課金も要りません。
あわせて読みたい:エビングハウスの忘却曲線と暗記法 ・ 写真で単語帳を作る方法(AIで自動生成)
よくある質問
Anki の基本的な使い方は?
まず目的ごとにデッキ(カードの束)を作り、その中に表(問題)と裏(答え)を入れたカードを作ります。あとはカードを見て「覚えていた/忘れていた」を評価するだけで、Anki が間隔反復アルゴリズムで次に復習するタイミングを自動で決めてくれます。コミュニティの共有デッキをダウンロードして使うこともできます。
Anki は無料で使えますか?
デスクトップ版・Web 版・Android 版(AnkiDroid)は無料です。ただし iOS 版の AnkiMobile だけは約 $25 の買い切り有料です。iPhone 中心で学習する人にはここがハードルになります。基本無料で iOS も使いたい場合は KaChiKa のような代替アプリが選択肢になります。
Anki が続かないのはなぜですか?
一番の原因はカード作りの手間です。1枚を丁寧に作ると意味・例文・画像・発音を付けて約5分かかり、知らない単語が10個あればカード作成だけで50分。結局「あとで作ろう」となって単語が溜まらず止まってしまいます。アルゴリズムではなく、カードを作る摩擦が挫折の理由です。
Anki の無料の代替アプリはありますか?
写真を撮るだけで AI がカードを自動生成する KaChiKa があります。iOS / Android / Web すべて基本無料・登録不要で、画像内の文字や物体を認識し、知らない単語だけをカード化します。例文は写真の中の実際の文をそのまま使うので文脈が自然で、FSRS 系の間隔反復で復習も自動でスケジュールされます。
Anki と KaChiKa はどちらがおすすめですか?
用途で分けるのがおすすめです。JLPT や TOEIC など決まった標準試験の単語集をまるごと覚えるなら、検証済みの共有デッキがある Anki が強い。一方、読書・旅行・日常で出会った単語を集めるなら、写真1枚で約5秒でカード化できる KaChiKa が圧倒的に楽です。両方を使い分ける人も多いです。